落書きのパラドックス(5)

壁の所有者が自分の要望に対して、その要望の実現として<壁に落書きをしないで下さい>と言う黒インクで文字を書いたのです。壁には黒インクで文字が記されている。私達は日本語として普通に読み、裏読みをしなければならないのだろうかと言った事にはならないのです。

要望は本人の頭の中の心的出来事であり、その内容を、文字の表象ーー壁という文字の形、落書きという文字の形の表象ーーに則って、黒インクの付着した筆で、壁に形をなどると、結果として「壁に落書きをしないで下さい」と言う文字が表れるのです。

同じ現実性でも、壁に書かれている<壁に落書きをしないで下さい>と言う書記は、見た目の通りに壁という下地に、黒いインク、筆模様で描かれているのです。コンピューターで言えば、スクリーンに表示される文字が、FONTと言う文字の形態の違いとして表される事と同じなのです。その壁の書記の前にたって、その文を読みながら、私は理屈を立てるのです。
目の前の書記に対して、写真に撮れば映像として、人々に提示出来るものとしてある。その映像は、壁を含む周りの姿が映し出されていて、その中に文字も映し出されているのです。その書記を、書き言葉で説明しようとすれば、コンピューターのfontで表示した<壁に落書きをしないで下さい>となるのです。

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